「本棚をみればその人が分かる」なんてよく言うが、だからこそ、そのひとの成長と共に本棚も育っていくのだろう。いや、育てていってはどうだろうか。
なにはともあれ、まずはどんなことやってんの?ってとこから。 工程としては2つだけ。
【具体的な方法】
❶,《準備》今までに自分が読んだオススメの100冊を選ぶ
あまり本を読まないからとか、コレだと思える本がまだない、とか思ったとしても、とりあえず100冊選ぶ。全部読み終わってなくても、一部しか知らない本でも大丈夫。学校の授業で読んだ『ごんぎつね』や昔話の『浦島太郎』などでもよいかと思う。このとき、この読書法の肝でもある、ブクログ(http://booklog.jp/)などのクラウド読書管理サービスを使うと、より視覚的に整理できて、管理もしやすい。ひとまず、これで下準備は終了。
実際にブクログを使うとこんな感じ。
❷,《運用》新しく本を読んだとき、読んだ本が本棚の100冊と比べて、よりよいものであれば入れ替える
ブクログはスマホやタブレットのアプリも出ているので、これを使うと更新作業もなかなか快適にできると思う。 (ブクログのアプリURL: http://booklog.jp/device)
【この読書法をはじめた経緯】
そのときは、「好きな本をリスト化するの楽しそうだから自分も作ってみようかな」くらいの気持ちだったのだが、日々更新をかけていくうちに、「更新」自体が楽しくなっていき、普段、本を読む中で日常的におこなう儀式的なものになっていった。
この読書法をはじめて、いろいろとよい効果もあったので、こちらもあわせて共有したい。
【よかった3つの効果】
❶, 新しく読んだ1冊の良し悪しをより深く考えるようになる
新しい本を読んで、いままでの読書体験と比べるという行為を、本を読むごとに毎回おこなっていると、自然と一回一回の読書体験をより深く考えるようになっていった。
自身がコンテンツ関連の仕事をしているからという理由もあるかもしれないが、その1冊の「本」からどれだけのものを得られたか、本の内容だけでなく、出会い方(※1)、ほかのメディア(映画やアニメなど)への展開の仕方、プロモーション手法(※2)など、本を取り巻く周辺情報も含めて比較して、その本の良いところ、悪いところを見るようになったのは自分にとって大きな変化だった。
「100冊」という具体的な比較軸ができることで、良し悪しを比べるのがくせになってくるのだと思う。
❷, 読書に能動的にとりくめる
けっこう安易なのだが、「この本を自分の本棚に並べたいから読もう」なんて考えから新しい本を読み始めることも増えた。興味はあったけれど読めていなかった、「読むのに時間のかかる厚い本」や、「自分にとってはちょっと難しい分野の本」を読み始める、きっかけとしても役立った。
❸, 自分を見つめ直すきっかけになる
たまにクラウドの本棚全体を見返してみると、自分の読書傾向がよく分かる。別に「本はバランスよく読むべきだ」なんてことは思わないので、科学の本が好きなら科学の本を、ラノベが好きならラノベを、好きな本を読めばよいかと思うが、得意な分野でも理解しきれていなかった要素が分かったり、あまり好き好んで読んでいなかったような分野の本でも、足りていなかったことが視覚的に分かる形になったことで、少し読んでみようかなと興味が湧いてくることもあった。
また、100冊に絞る制約があるからこそ、同じ分野の本について、よりつっこんで考えることが多くなった気がする。大きく分けて題材が同じ(AI関連の本、時間管理関連の本など)、という場合の比較はもちろんだが、複数巻に分かれた同タイトルの書籍や、小説や漫画などのシリーズものでも、「この作品は、2巻にあるこのエピソードが人にオススメする上では欠かせない、1巻ではなく2巻に挿し替えよう」「このビジネス書が実際に仕事の助けになったのは、マンガ版が出て仕事仲間と話せるようになったからだ、これはマンガ版にしよう」など、その本それぞれに感じた自分の気持ちを思い返して入れ替えることも、その本の理解を深める助けになっている。
(単純に、そうやって迷うのがけっこう楽しかったりも。)
終わりに
こんな感じで、ひとり楽しんでいる、クラウドの本棚を使った読書法。最近だとkindleなどの電子書籍も一般的になってきて、気に入ったすべての本を蔵書として手元に置いておくことはなかなか難しくなってきたかと思われる。そんな中、書籍のコレクション欲を満たす手軽なゲームとしても、楽しめるのではないだろうか。