作家は、「異能の人」です。人口の1%どころではなく、0.1%か、0.01%くらいしか存在しません。一緒に仕事をしていて感じるのは、彼らは物語を作っているのではなく、頭の中にもう一つ別の世界を持っていて、そこへトリップしているのです。 ー第1章 本質を見極め常識を打ち破るための思考法-本当の「出版=パブリッシュ」とは何かー「ぼくらの仮説が世界をつくる」
「ドラゴン桜」の三田紀房さんなど、多数の作家をマネジメントするエージェント会社コルク。その代表をつとめる佐渡島庸平さんの著書「ぼくらの仮説が世界をつくる」より、作家のものづくりに関するひとこと。
「別の世界を持っている」という表現は、言い得て妙である。
マンガや小説のストーリーを作家が考えるとき、「キャラクターが勝手に動く」という話をよく聞くが、これもまた、別の世界として存在しているということなのだろう。「世界を覗き見る」ことで、その光景を物語として描くのだ。
本書では次に、だからこそ、編集者が必要なのだと語られている。本という形だけでは、作家が創造したものの10%くらいしか使用できない。それを、本以外の媒体も活用することで、30%、40%に高めていくのが、これからの時代の編集者の役目なのだという。
この「本意外の媒体」に、アニメやグッズだけでなく、TwitterやFacebookなどのSNSも含まれていたのが、面白く感じた。
従来、SNSは宣伝ツールのように考えられていたが、作家とファンをつなぎ、そこでもまた、「作家の持つ世界」を共有するのだと考えると、捉え方が変わり、できることの幅も広がるように感じる。
こういった水平展開をしていく際に議論に上がることに、「本物らしさ」というものがある気がする。二次創作の作品であれば受け入れることができるが、「公式」が本書で言うところの「作家の世界」から外れたことをすると、とたんに「作られた嘘の世界」のように感じてしまうのである。(ギャグとしてやっている場合は別として)
そういった「世界」のコントロールという観点から見ても、発信する先が増えていく中、やはり作家と密にコミュニケーションをとることができる「編集者」という存在の必要性は増していくのだろう。
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