「現実を見ろ!」というのは、「絵も描けないくせにマンガを描きたいなんてほざいてんじゃねえよ!」という話ではありません。「絵が描けない」人は、「現実をそのまま」描いてしまえばイイんです。―「マンガは描ける!絵が描けない人でも」‐奥義その1:現実を見ろ!~そこに手本はある~より―
漫画家 やまなしレイ氏の著書「マンガは描ける!絵が描けない人でも」より、絵が描けないけど、描いてみたいと思っている初心者の人へ向けた、漫画制作のヒント。
「現実をそのまま」とは、描きたい漫画の「コマと同じ構図」で写真を撮って、現実を写し取った「写真」をそのまま参考にしてはどうかということである。本書の中では、いかにして「写真」を使って絵を描いていくのか、具体的な手法を順序だてて紹介している。
「絵を描く人」の中には、「写真」を参考資料にする手法を、ごく当たり前のように取り入れている人も多いだろうが、「描かない人」、「描けないと思っている人」は、「写真」を参考にすること自体を思いつかなかったり、「してはいけないこと」のように思っている人も少なくない。
この、なんとなく「悪いこと」のように感じてしまう気持ちは、たまに問題になる炎上事案なども影響しているのだろう。ネットから拾った他人の写真やイラストを、勝手にトレスして(なぞって描いて)、自分の作品とすることは、もちろん権利的にもモラル的にも許されないことだが、そのバッシングを受けている様子は、初心者からすると参考資料を使うこと自体への抵抗感を生んでしまっているのかもしれない。
しかし、自身で撮影した“権利的に問題のない”写真を絵の参考にすることは、「悪いこと」ではない。描くことへのこだわりの部分から、批判をする人もいるかもしれないが、なんら恥じることではないのである。
本書は全4章の構成となっており、この後、残り3つの「漫画制作のヒント」が登場する。説明の間に差し込まれた、漫画は分かりやすく、初心者にも面白く読める内容になっているので、気になる人は手に取ってもらえればと思う。
【トレース台とカメラのおすすめ】
カメラに関しては、せっかくなら「趣味」にしてしまって、写真の構図のストックを増やしていく、という方法もよい気がするが、いま描いている絵の参考にできればいいということであれば、スマホでも十分かと思われる。
【デジタルデータで作業するためのツールのおすすめ】
PCがあれば、写真をデジタルデータとして取り込んで、構図をトレースする方が、人によっては使いやすいかもしれない。
【被写体の代わりになるモデル】
コマと同じ構図を撮ろうとするときに、どうしても人を撮影することが難しければ、モデルの人形を使うとよいかと。
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