かつて人口知能と呼ばれていたが、実用化され、ひとつの分野を構成すると、人工知能と呼ばれなくなる。これは「AI効果」と呼ばれる興味深い現象だ。多くの人は、その原理がわかってしまうと、「これは知能ではない」と思うのである。―「人工知能は人間を超えるか」-第1章 人工知能とは何か 専門家と世間の認識のズレ―
電子書籍「人工知能は人間を超えるか」より、人工知能が「困難なもの」であり続けている、ひとつの理由。
「原理の分かったもの」を人は、「知能」だとは認めづらいのだという。まだ未知の領域の大きい「知能」を神聖視している面もあるのだろう。かつて「人工知能」の一種とされていたものとしては、「音声認識」「文字認識」「自然言語処理(かな漢字変換や翻訳)」「ゲーム(将棋や囲碁)」「検索エンジン」など、多くあるが、いまではそれぞれがITの一分野のようにあつかわれている。
この現象は、かつての「錬金術」にも通じるものがある。理解され、実現可能となったものは、「化学」として独立していき、そして、理解されず、実現できなかった「不老不死」や「ホムンクルス」といった要素だけが、人々の中にはあやしげで象徴的なエピソードとして残っていく。
本書では、「人工知能」がいまのように大きく注目される前、冷遇されてきた、冬の時代についても詳細に描かれているが、上記の点もふまえて読んでいくと、さみしさとやりきれなさを感じてしまう。
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