2019年10月30日。アマゾンの電子書籍サービスのキンドルに、子供用の本が読み放題になる端末「Kindle キッズモデル」が発売されることとなりました。
我が家も、今年子供が生まれたので、「子供向けのサービス」には、とても興味があり。今回はこの「Kindle キッズモデル」を詳しく見てみたいなと思います。
昔、自分が「読書好きな子供」だったこともあり、4年近く前には下のような「子供が親へキンドルの交渉をするためのマニュアル」記事を書いたりと、子供目線で無駄にサービス内容を検討したりもしてました。
そんな中、今回、新しく「子供が本をより読みやすくするためのサービス」がキンドルに加わったということで、ちょっと嬉しく、期待しています。
それでは、本題。
ここからは大枠として「①サービスの内容をざっくり見てみる」「②自分だったらどう使うか考える」「③詳細を丁寧に見ていく」という順番でいきたいと思います。
サービス内容を見ていくにあたって、比較軸があった方がイメージしやすいかと思うので、同じくアマゾンから出ている子供向けのタブレット端末「FireHD(ファイヤ エイチディー)キッズモデル」と比べながら考えていきます。
また、「親が子供に読ませたい」からで買うって視点だけで考えても結局は使わなくなってしまったり、子供としても気分よくないと思うので、もし自分が小さい頃、「子供心に欲しいと思えたか」という視点とセットで見ていこうと思います。
「Fire HD キッズモデル」と「Kindle キッズモデル」は、ざっくり言うと何が違うの?
ではまずは、デバイスのスペックや、サービス内容を、2つを比較しながらざっくり見ていきます。
2つの違いは、「アプリや動画が再生できるタブレット端末」か、「キンドルを読むためだけに特化した電子インク端末」か、の違いです。
「Fire HD キッズモデル」については、iPadなどの液晶タブレットを、子供用のコンテンツだけまとめて、多少の機能制限をかけて、子供にそのまま渡しっぱなしにできるようにしたものと考えば大丈夫です。
「Kindleキッズモデル」は、端末自体のスペックは通常の「Kindle端末」とほとんど同じで、こちらも子供用の本だけをまとめて、より使いやすいように機能を絞ったものと考えばOKです。
一般向けのキンドル読み放題サービス「Kindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)」が県立の大きめの図書館くらいの冊数、ジャンル数、規模感だとすれば、子供用の「Amazon FreeTime Unlimited(アマゾン フリータイム アンリミテッド)」で読める本のバリエーションは、小学校と中学校の図書館を合わせたくらいにイメージできるといいかもしれません。
「Fire HD キッズモデル」も、「Kindle キッズモデル」も、デバイス購入時にサービス利用権1年分がついてくる形になっていて、価格は「1万円ほど」。1年の利用期間終了後は、通常月額980円(Amazonプライム会員月額480円)の利用料がかかってきます。
Amazonプライム自体が月額500円、通常の読み放題「Kindle Unlimited(キンドル アンリミテッド)」だと月額980円(プライム会員の割引なし)だったりするので、ファミリー向けに若干抑えた感じかなと思います。
こういう使い方ができるといいかも3選
先の情報を踏まえて、「自分だったら、どう使うかな」と考えてみました。
「読書しかできない」を言い訳に、子供が自由にできる自分端末化
タブレット端末の「Fire HD キッズモデル」の方は、「数千を超える子供用コンテンツ」が楽しめるという打ち出しで、ベネッセやディズニーとも連携しながら、実際いろいろなものが使えるようになっています。
ちなみに、「Kindle キッズモデル」で読める電子書籍は、こちらの「Fire HD キッズモデル」でも読むことが可能です。
「Fire HD キッズモデル」で楽しめるコンテンツ
絵本、学習まんが、児童書のほか子ども向けアプリ、ゲーム、ビデオ、その他の知育コンテンツ、英語学習用のアプリや英語の絵本、ビデオ、など
「Fire HD キッズモデル」のレビューを見てみると、「子供がすごく喜んでいる」という声が多くて、「レビュー平均3.9」と、最近荒れがちなアマゾンレビューから考えても、けっこういいように感じます。
一方で、同じようにレビューの中で目にするのが「熱中しすぎてしまうので時間を制限している」という声で、「ゲームは1時間」みたいな話と同じ感じの使い方をされているとこも多そう。
サービス自体も、「子供向けコンテンツや、教育コンテンツに絞ってある」とは言いつつも、言語が英語のみのものもあったり、解説がよくなかったり、コンテンツ量が多い分、クオリティにも差があるよう。
単純にエンタメとして見る動画も含まれているので、家庭によっては「あまり使い過ぎてほしくない」と思われる親御さんもいるのかもしれません。
ただ、自分が子供の頃を思い返してみると、「熱中して、ハリーポッターをどっぷりと世界観に入りきって読んでいる」ときに、途中で取り上げられたりすると、すごい嫌な気持ちになるなと。。
そこで、
親子の間をとり持つ「Kindle キッズモデル」。
って選択肢はアリかもです。
本しか読めないからこそ、子供が自由に使える端末として家庭内でも使い放題にできると子供心にも嬉しいだろうなと思いました。
「外出用」として、いつでも持ち歩く端末にする
「Fire HD キッズモデル」と、「Kindle キッズモデル」で、使い心地にもうひとつ関わってくると思うのが、バッテリー容量の差。
「Fire HD キッズモデル」の方は、レビューでも「バッテリーがしょぼい」と言われたりしているようです。。
2つのバッテリー容量を比べてみると、
Fire HD キッズモデル | 7時間 |
---|---|
Kindle キッズモデル | 4週間(672時間) |
その差、96倍。
ただ、「Kindle キッズモデル」のバッテリーの持ちがすごいだけで、「Fire HD キッズモデル」に関しては、同じタブレット端末の「iPad」でも「10時間」なので、レビューの声は人による感じ方の違いもある気がします。
スマホだと「iPhone11Pro」で、ビデオ再生しっぱなしで「18時間」持つので、ここらへんと比べると、確かに外出時にはバッテリーに不安を感じたりするかなと。
フル充電までにかかる時間は、どちらも「4時間」とのことなので、長時間使うのであれば「充電しながら」使ったり、「1日に何回かちょくちょく充電する」ことを前提に使えるといいのかもしれません。
一方で、「Kindle キッズモデル」は、数日充電を忘れてもほとんど減らないので、それこそ紙の本と同じようにカバンにしのばせておいて、思い立ったときに読み進めるという感じもできそうな気がします。
家族の「キンドル本 共有本棚」として使う
「Kindle キッズモデル」に付いてくる「Amazon FreeTime Unlimited(アマゾン フリータイム アンリミテッド)」には、「子供向けの本読み放題」という機能とは別に、親が購入した本や漫画を送ることができる「本の貸し出し機能」が付いています。
こちらの機能を使って、「家族内でのキンドル本の共有本棚」という形にしてしまうのも楽しそうだなと。
この貸し出し機能、アメリカなどでは「ファミリーライブラリ」という名称で、「Amazon FreeTime Unlimited(アマゾン フリータイム アンリミテッド)」関係なく、デフォルトで使える機能のようなのですが、まだ日本では導入されていません。
現状、日本でこの使い方ができるのは「Amazon FreeTime Unlimited(アマゾン フリータイム アンリミテッド)」だけなので、「読み放題」とは別に、親の面白かった本や、対象になっていないけれど子供が興味を持っている本を個別で購入して入れられると読書の幅も広がるんじゃないかと思います。
※この「キンドル本の貸し出し」自体は、同じく「Amazon FreeTime Unlimited(アマゾン フリータイム アンリミテッド)」が付いてくる「Fire HD キッズモデル」でも同じことが出来るので、キッズモデルを買う場合の1つのメリットと考えられるといいかなと。
「Kindle キッズモデル」をもっと細かく見てみると? 「良いとこ」「気になるところ」
ここからは、「Kindle キッズモデル」のスペックや、サービス内容をひとつずつ詳しく見ていきたいと思います。これまでに話した部分も深掘りした方が良さそうなところは、おさらいしていきます。
子供向けのコンテンツ定額サービス「Amazon FreeTime Unlimited」を1年間使える利用権付き
あらためてですが、ここがサービスの一番のポイント。
児童書の名作や学習マンガから、「ハリー・ポッター」、「名探偵コナン」、「ドラえもん」、「ディズニー」などのキャラクターコンテンツも含めて、「1,000冊以上の子ども向けの本」が1年間追加料金なしで読み放題になります。
このサービス単体では、それほどアマゾンページ内で大きく打ち出されてはいなくて、キッズモデルの端末と基本的にはセットで打ち出されています。
公式のサービスページも、若干気づきづらく、自分も今回はじめてしっかり見ました。
「本の貸し出し機能」が導入されていたとことか、「こんなのあったのか…!」と思ったり。
本が入る容量はマンガ約130冊分(8ギガ)
マンガなら約130冊、文字のみの本なら数千冊入る容量。通常のKindle端末は一番下で4ギガなので、その2倍。
子供向けの本は、絵や写真が入った本も多いので、そういった本でも「100冊以上は入る」というところに設定されていて、いい感じに使える範囲内かなと思いました。
価格は、10,980円
一般向けの「Kindle」も広告なしの購入価格が同じ10,980円。
これに、キッズモデルの場合は、容量が2倍(8ギガ)になって、読み放題のサービス利用権1年分もついてくるので、比べると相当キッズモデルの方がお得に感じます。
値段がおさえられてる理由としては、月額課金の読み放題サービスが1年後以降も継続されることを見越して、価格設定されているのかなと。
同じような売り方をされているもので考えると、携帯会社がスマホ端末の料金を「実質0円!」みたいに契約料金に含めたり、通信会社が工事料金無料でキャッシュバック付きにしてたりしますが、
この「Kindleの子供向け読み放題」の場合は、何年しばりとかもなく、追加料金がかかる1年後からいつでも解約できるようなので、良心的だなと感じました。
ただし、1年たつと有料期間に自動更新されてしまうので、ここだけ注意が必要。
子供用のカバー付き。カラーは、ブルーかピンク。
キッズカバーが最初から付いてるのもいいとこかなと。
自分のKindle端末は、ずっとカバーを付けずに使っていたにも関わらず、壊れたりもしませんでした。端末自体の耐久性も十分で、けっこう頑丈に作ってあるなと感じていたので、カバー付きだったら子供もそこそこラフな感じで使っても大丈夫かなと思います。
2年間の交換保証付き
これも、一般向けのKindle端末が「1年間保証」に対して2倍の「2年間保証」。
公式サイトの文言を見てみると、
万が一落としたり濡れて壊れてしまっても、無料でお取替えします。(2年間限定保証には一定の条件が適用されます) ※アマゾン公式より
とのことなので、まだ落としてしまいがちな年齢の子にも渡しやすいかなと。
気をつける点「防水機能は付いてない」
一つ上で「濡れて壊れてしまった場合」の話が出てきましたが、このキッズモデルはKindle第10世代をベースにしているとのことで、防水機能は付いてません。
一般向けのKindle端末の中には、防水のものもあるので、ここを勘違いして「プールにどぼん」とかしないように気をつけないといけないなと思いました。
紙のように読みやすい、「E-inkディスプレイ」
言葉だと伝わりづらいですが、さらさらした感じの手触り感。
「目が疲れにくい」という話を聞いたりもしますが、スマホやPCのように発光しているわけではないので、実感値としても「光で目がしばしばする感じがまったくなくて」、疲れにくいなと分かります。
気をつける点「カラーの漫画は白黒になる」
ひとつ上で話した、電子インクになっている関係上、画面はすべてグレースケールの白黒画面になるので、もともとカラーの漫画もすべて白黒になります。
ここの部分、以前Kindle端末を買おうとしている人で、勘違いして「カラーと切り替えられる」と思っている方もいたので、念のため買う前の認識として合わせておいた方がいいとこかなと思いました。
(昆虫好きな子が、色鮮やかな蝶がたくさん載った図鑑が見たくて買うとかだったら、タブレット端末の方が断然いいと思うので)
子供用の機能制限を後から外して、子供が大人になってからも使える
基本的には、一般向けのKindle端末をベースにソフトウェアの方で子供向けに調整しているだけなので、そのまま大人のKindle端末として使うことが可能です。
普通に、一番安い一般向けのKindle端末を買うくらいだったら、こっちのキッズモデルを買った方が容量も大きくて、保証も長くていいんじゃないかなと思ったりもします。
バッジ機能でゲームを進めていくように読書を楽しめる
あらかじめ設定した読書時間や目標を達成すると、「本の虫」「スーパースター」といったデバイス内のバッジがもらえます。
小学校の図書室のカードとかもそうですが、「記録」するだけで、モチベーションは高まって楽しくなっていくので、ちゃんと活用できればいい機能だなと思いました。自分が子供の頃だったら欲しかったです。
年齢を登録すると、最適な本をレコメンドしてくれる
子供の年齢を登録することで、レコメンドしてくれるとのことで、漢字の読み書きレベルや、ストーリーの内容次第で分かれてくるのかなと。
ただ、「Fire HD キッズモデル」の方のレビューでは、「制限がかかって見れないものが出来て使いづらかった」ということを書かれている方もいたりしたので、ここは実際に使ってみないと分からないところな気はします。
知らない単語をその場ですぐに調べられる「辞書機能」「英文解説機能」
これは、スマホやKindleのアプリなどでもありますが、格段に読みやすくなりますよね。
とくに英語の本に対して、簡単な英文の説明を表示してくれる「Word Wise」という機能で、単語だけでなく「文」の単位で解説を入れてくれます。
最後に雑感(子供の頃を思い返してみて)
子供のころは、実家から数十メートルのところに、図書館がありまして、毎週のように通っていたのですが、福岡の田舎町のため本の数にも限りがあって、「別の図書館から取り寄せ」してもらったりしていました。
取り寄せにかかる日数は、早くて1〜2週間。長いと1ヶ月近くかかったりもしてたので、「待っている時間にこの本を読んでおいて、次はこれ」みたいに、スケジュールを組みながら読んだりして、それはそれで楽しかったのですが、
この「読み放題端末」があったら、
もっとどっぷりと読書にひたれた
だろうなぁと感じます。
「本棚を全部持ち歩ける」という読書好き特有のわくわく感と、「漫画もいろいろ読める」という子供心くすぐる魅力と、いろいろ惹かれた気はするのですが、
実際に、いまの時代に子供だったとして、タブレットじゃなくて、この「Kindle キッズモデル」が欲しいとなったかと考えると、正直分からないなとも思ったりします。
子供の頃の自分そのままだったら、「本10冊分くらいの値段だから、買ってほしい」って言って、買ってもらってただろうなとも思うのですが。
ただ少なくとも、「あんたはこれで、本でも読んでなさい」みたいに渡されたら、逆に反発して読まなくなる気もするので、うまいこと手に取れるかどうかってのも、重要なのかなと。
我が子がもう少し大きくなったら、また購入を考えてみたいと思います。